「男も女も一生稼ごう」西原理恵子が語る仕事-1
朝日新聞 平成22年10月24日朝刊
貧乏は、人間から優しさや思いやりや希望を奪っていきますね。わずかなお金のことで日常的に大人が激しいケンカをするんです。子どもはたまったものではありません。でも、仕事がなく、お金がないと人の感情は荒れ、愚痴を言いながらどん底へ落ちていく。学校へ行って勉強しても、自分の行き着く先はこんな生活なのかという絶望感は、すごく大きかったですね。
「自分のやりたい仕事にめぐり合わない」とか、「自分の本当の力を分かってもらえない」なんて本気で思っているのなら、私は笑いますよ。その前に、たとえ1円でも自分の仕事に対して払ってもらえることは何かと考えるべきですよね。それは天から降ってくるわけではなく、「私の力でいただける仕事ならやらせてください」というものでしょ。運よく報酬をもらえたら、稼ぐ才能がそこに潜んでいたということ。その糸を手繰り寄せていかなければ、自分の仕事にたどり着けないんです。